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以前Q&Aの記事で
問題行動は治るケースと治らないケースがある
ということを書きました。
内容は、
本能や習性が関係していると
コミュニケーションだけで直すのは難しい
ということだったのですが、
本能や習性が関係していない場合は、
おはなし次第で直りやすいです
今日は、
とても分かりやすく行動を変えてくれた
チワワのリンちゃんのエピソードを
お話ししようと思います
お留守番中のイタズラ
ご依頼者さんはリンちゃんを溺愛していましたが、
一つだけ困っていることがありました。
それは…
仕事から帰ってくると
部屋中うんちまみれでぐちゃぐちゃにされていること
クタクタになって帰宅してから
汚れた部屋をきれいに掃除するのが日課になっていました。
お留守番が長いので少しでもストレスを減らせるように
ケージフリーにしているのですが、
一緒にいる時はちゃんとトイレシーツでできるので、
トイレを覚えていないわけではないのです。
このことについてお話をして欲しい
というご依頼でした。
理由は…
問題行動についてお話をするときに
突然本題を切り出してしまうと
責められているように感じてしまうかもしれないので、
私はいつも簡単な世間話から始めるようにしています
りんちゃんともまずは挨拶から
リンちゃんはお嬢様のような
可愛らしくちょっとツンとしたところも
感じさせるような話し方です。
挨拶の流れで
「毎日楽しんでる?」と聞くと
「楽しいけどさぁ、
あたしもっとお母さんと遊びたいんだよねぇ」
と返ってきました。
さらに詳しく聞いてみると
「もっと遊びたいけど、
お母さんはお仕事があるからいつもお留守番してるの。
お仕事はきっと大事だから
仕方ないと思って我慢して待ってるのに、
帰って来てもすぐご飯作ったり忙しくして
ちょっとしか褒めてくれないから私ちょっと怒ってるの!
ちゃんと待ってるのに!って。」
と言っていて、
部屋を汚す理由もそこにあることを教えてくれました。
いざ交渉
このように人間にとっては問題行動であっても
動物には動物の理由があります。
その理由を無視して一方的にやめて欲しいと伝えても
当然動物は納得できず、根本的な解決にはなりません
リンちゃんの行動に共感しつつ
改善して欲しいこととその理由を伝えます。
「リンちゃんはお母さんのお仕事のことを理解して
毎日お留守番してて偉いね!
お母さんもすごくありがたく思っているよ
でも、お仕事が終わって帰って来たときに
お部屋がぐちゃぐちゃになっていると、
リンちゃんと遊ぶ時間がなくなっちゃうんだ
お母さんもリンちゃんともっと遊びたいと思ってるんだよ。」
と。
リンちゃんの反応は
ぶーと膨れているような感じ。
言われていることは分かっているけど、
だってーというような
小さい子が、ふん!ってなっているような
そんな感情が伝わって来ました。
そして一方的なお願いではなく
交換条件になるような
リンちゃんサイドの意見も聞いてみました。
すると伝わって来たのは
水色と黄色の長細いタオル生地のおもちゃ
これを飼い主さんに伝えてみると
「これですね!
いちごちゃんという名前をつけてて、
いちごちゃん持ってきてというと喜んで持ってくるんです」
と写真を見せてくれました。
いくつか持っているおもちゃの中で
一番のお気に入りだそう
そこで
うんちをしていなかったら、
ご飯を作る前にまずいちごちゃんで遊ぶこと
をリンちゃんと約束しました。
すると、なんと
次の日から部屋を汚すことを
ピタッとやめてくれたのです。
一日目はたまたまかな?
と半信半疑だった飼い主さんでしたが、
次の日もその次の日も部屋はキレイな状態だったので
本当に理解してくれているんだと
飼い主さんは驚かれていました
実は私もこれにはびっくりでした。
なぜならお話し中リンちゃんは最後まで
ぶーと膨れたような反応だったからです。
こちらのお話は
うんうんと真剣に聞いてくれてはいたものの、
分かったよ!と交渉をのんでくれたような
反応はなかったんです
なので飼い主さんには
「直してくれる可能性は低いかも…」
とお伝えしていました。
本当は甘えん坊だけど
ちょっとツンデレな性格のリンちゃんなので
ムッとしながらも頭ではしっかり理解して
行動を変えてくれたんですね
伝えることの意味
このように
本人が自分の意思でしている行動は
話し合いで解決することもありますが、
仮に直るか分からないケースだとしても
話し合うことはとても意義があることだと思っています。
本能や習性が絡んでいる場合に治すのが難しいのは事実ですが、
動物たちには
なぜその行動をやめて欲しいと思っているのか
を知ってもらうことで、
自分で意識することができたり、
叱られた時になぜ叱られたのかを理解することができるからです。
例えば、脱走癖のある猫ちゃんに
脱走をしたときに起こり得る危険性をお話しすると
猫ちゃんはびっくりした反応を見せることが多いです。
そして、脱走している間に
飼い主さんがどんな気持ちになっているかを
危険性を知ってもらった上で伝えると、
なぜ脱走が良くないのかをしっかりと理解してくれるのです。
それでもオスの本能があれば衝動的に
出て行ってしまうこともあるのでしょうが、
動物もちゃんと理性を持っているので、
脱走の頻度が減ったり、
戻ってくる時間が早くなったりという
変化があったとの報告を頂いています。
子供と同じで頭ごなしに叱っても
根本的な解決にはならないので、相手の気持ちも尊重しつつ
こちらの気持ちも理解してもらうためには
アニマルコミュニケーションはとても有効だなと感じています。
おまけ
リンちゃんの後日談なのですが…
数ヶ月経つとまた部屋を汚す
という行動が見られ始めたようで
それについてリンちゃんに聞いてみると
「だって私は一生懸命約束を守ってるのにさ、
お母さんは「ごめん、ちょっと今日は先にこっちをやらせてー」
とか言って後回しにする日があるんだよ!」
とプンプンしていました
主婦として、子を持つ母親として
飼い主さんにはとても共感できるものの
リンちゃんには
「それはリンちゃんは悪くないね。
お母さんに約束を守るようにちゃんと伝えておくね。
もしかしたら
お母さんはリンちゃんのご飯を買ったりするためにも
お仕事を遅くまで頑張っているのかもね」
と伝えておきました
初心忘るべからずですね